薮野社長

営業 辰巳さん

大阪市平野区で50年以上前に封筒製造の加工業として創業された緑屋紙工さん。規格外サイズや多様な窓付き封筒の製造を得意とされてきました。2007年にオープンした封筒通販サイト『封筒屋どっとこむ』も毎年順調に売上を伸ばしており2008年にはインターネット部門を分社化し株式会社タクセルを設立されました。
昨年2011年には満を持して展示会に初出展。
薮野社長と営業の辰巳さんに展示会活用法についてお聞きしてきました。

展示会との歩み
辰巳: 昨年はじめてモトヤコラボレーションフェア(印刷業界専門展)と中小企業総合展に出展しました。うちは封筒メーカーの下請け加工業として長年やってきましたがそれだけでは仕事は減っていくのが見えていたのでもっとエンドに近いところで営業していかなければ、という思いがありました。まずは2007年からネット(封筒屋どっとこむ)でそれをやってみて、そちらは順調に回り社長の手を離れるようになったので、次のステップとしてリアルの営業、つまり展示会出展に向けて動き出しました。

展示会で成果を上げるために
.昨年の中小企業総合展で緑屋紙工さんのブースは初出展の会社のブースとは思えない程よく目立ち、たくさんの人が集まるブースになっていましたが、どうやってあのブースを作っていかれたのですか?


中小企業総合展 2011(インテックス大阪)

辰巳: まず、中小企業基盤機構のコンサルの先生から「展示会では目立ったもの勝ち」とアドバイスを受けました。“緑”屋紙工だから壁を緑にしてみたらとか、マスコットキャラクターを作ってみたらとか、方向性を示していただきました。

マスコットキャラクターに関してはまず社内や知り合いからどんなイメージがいいかアンケートをとりました。その結果「かわいいイメージのカエル」に決まり、封筒屋どっとこむの美術系の学校を出たスタッフにイメージを伝え、絵を描いてもらいました。
ブース全体のディレクションは、以前に楽天ビジネス(※ビジネスマッチングコンペのウェブサイト)で出会って会社案内の制作を依頼したデザイナーさんにお願いしました。

.はじめて展示会にチャレンジする中小企業としてはイメージカラーやイメージキャラクターを決めて、それに基づいたブースディレクションをしたい、と思ってもそこからどうやって進めたらいいかわからない、という会社が大半だと思いますが。

薮野: そこのハードルは高いと思います。はじめての展示会出展のときはどうしていいかわからない。そこに関しては中小企業基盤機構のアドバイスがあり、ディレクションができるデザイナーさんとのつながりもあったという点でうちは恵まれていました。
最初にブース制作にまとまった額を投資すると決められたのもアドバイスがあったからです。アドバイスがなかったらもっとケチくさいブースになっていたかも(笑)。

辰巳: 一番最初のモトヤコラボレーションフェアでは手作りのパネルと商品を並べただけのブースだったのですが、あのまま中小企業展にも出ていたら「下請け加工会社」のままこじんまり終わっていたかもしれない。でもこうやってきちんと初期投資をして目立つブースを造った結果、大手企業さんの目にもとまり、効果が出せたと思います。

薮野: 割り切って投資できるかですね。一度作ったら再利用できるしね。

  注 この後、ブースパネル、紙製カンター等、展示会備品一式を収納されている場所を見せていただきました。1m四方程度の場所にすっきりと収まっていました。

今後の展示会活用に向けての展望
辰巳: 今後は僕の希望ですが、ISOT(文具・紙製品展)やギフトショーみたいなところに、うちの強みが詰まったオリジナル商品のレターセットを出展してみたいというのがあります。

 
日経MJ(2012.4.6)/ オリジナル商品 レターセット

このレターセットは封筒の窓フィルムに印刷し、封筒の窓の部分に位置がずれないように貼っていくという実用新案を取得したうちしかできない技術で作った商品です。
これ以外にも特殊な紙や変わった形のレターセットを作る、ということに関してうちには他社にはない蓄積されたノウハウがあります。その加工技術を活かしていきたいと思います。

薮野: 今、展示会で効果が出ない、と言われているのは大企業が求めるような効果が出ないからなんだと思います。中小は違う。中小は中小なりの得意技がある。それを出すことによって効果が出る。中小は展示会でそんなにたくさんの集客をしなくてもいいんです。例えば5社、10社のお客さんがすごく興味を持ってくれたとして、その後のアフターフォローをきちんやれているか、といえばうちはまだそこが弱い。そこを強化するための社内の仕組みづくりに今後力を入れていきます。モノと情報の整理整頓、その先にISO取得。システムへの投資へ今後は向かっていくと考えています。

今回の学べるポイント!
他社にはマネできない加工技術とITに精通されているところが緑屋紙工さんの強みです。展示会活用にもその部分を活かしてらしたのが印象的でした。はじめての展示会でブース制作にまとまった額を投資する、という決断ができた背景には、信頼して仕事を任せられるデザイナーさんとのつながりがあったから。その出会いが楽天ビジネスだった、というのがおもしろい。ビジネスマッチングサイトでまずは名刺やロゴ、会社案内といった案件をコンペにかけていいデザイナーさんと知り合うことから始める、というやり方は中小企業にとって実にリスクが少なく賢いやり方だと思いました。まず自社をよく理解しフィーリングが合うデザイナーさんと信頼関係を作る。そうしておくと新しいことを始めるときに安心してその方にディレクションを任せることができます。楽天ビジネスのほかにはランサーズというサイトもデザイナーさんとの出会いの場として活用されているそうです。ご興味ある方は一度のぞいてみてください。

インタビューを終えて
5年前に『封筒屋どっとこむ』を立ち上げた際には業界初の“封筒屋シュミレータ”というシステムを独自開発された薮野社長。今年はiphoneで使えるアプリ「封筒i見積」を開発しリリースされました(アップルストアからダウンロード可)。

 iphoneアプリ 封筒i見積

今年5月には『封筒専隊』という同人誌向けレターセット制作サイトもオープン。

 封筒専隊ホームページ

自社の強みを活かした緑屋紙工さんの快進撃は今後も止まりそうにありません。
今年も昨年に引き続き中小企業総合展に出展されます。開催期間は2012年5月30日~6月1日。場所はインテックス大阪6号館、コマ番号F-020(詳細はコチラ)。今年はどんな魅せ方をされるのか楽しみですね!
お忙しい中お時間をお取りいただいた薮野社長、辰巳さん、ありがとうございました!

【緑屋紙工 会社情報】

会社名 緑屋紙工株式会社
お問い合わせ TEL:06-6709-8110
ホームページ 封筒工房
http://www.futo-kobo.com/
封筒屋どっとこむ
http://www.fuutouya.com/
所在地 大阪市平野区喜連東5-16-15

【これまでに出展した主な展示会】
モトヤコラボレーションフェア
中小企業総合展