2023年版「大奥」に思うこと

おはようございます^^
自社の問題解決力を見える化し展示会を成功に導く、展示会活用アドバイザーの大島節子です。

3月に入りました。2022年度が終わっていこうとしています。そんな早朝の大阪から今朝も展活タイムズをお届けします。

なぜ私たちはこんなにも『大奥』に心を持っていかれるのか?

現在、NHKで火曜22時から放送中の「大奥」。原作を何度も読み返しているので展開は完璧に頭に入っているのに、それでも毎週むさぼるように視てしまいます。Twitterの感想などを見ていると原作を読んだ上で視ている人たちからの反応もすこぶる良いですね。特に我々と同じくらいの年齢の平成という時代を懸命に働きながら生きてきた女性たちからの支持が熱烈に高いように感じます。

原作者のよしながふみ氏は1971年生まれ。私は1975年生まれなので4歳年上になります。2004年に連載が開始され昨年無事完結されたのでよしなが氏が33歳から50歳になるまで17年間もかけて全19巻を描き上げられました。

私が『大奥』を読み始めたときは確かすでに2巻まで刊行されていて、そこからは単行本が出るたびに追いかけてきた約15年の日々でした。よしなが氏と同時代を生きる者として、何度も救ってもらった恩返しも込め、使命感を持って読み続けて来たように思います。

テレビ放送では苦しくて切ない綱吉編が一段落し、ここからは伝染病の克服をテーマとした医療物語になってゆきます。そして秋には幕末編も放送されるとのこと。

綱吉編は女性が持つ普遍的な悲しみ、女と学び・容姿、そして出産についての救いとなるエピソードがいくつかあります。かさぶたを剥がし綱吉と共に涙を流すことは一種カタルシスではあるのですが、当たり前ですが根本的な解決にはなりません。

よしなが氏のインタビュー本『仕事でも仕事じゃなくても』で氏はこのように述べておられます。

たとえば「女の人は結婚すると働けないでしょ」とかそんなことを耳にしても、全部に反論して回れるわけではないですし、そういうことを同性である女の人が言っていたりしたときに忸怩たる思いを抱えることもあります。でも、そういうときに私が出せる結論は、私自身が一生仕事をして自分で自分を養って生きていくことで、この世の中にそういう人が一人増えることになる、それでいいとずっと思ってきました。不平等を改善するような動きが社会的なムーブメントになるのはもちろんいいことだと思いますが、まず大事な一歩は、私自身が自分の思想を裏切らないように生きていくことだと思って、それに尽きると考えています。そういう意味では、今自分が置かれている社会の中で、現実と思想を擦り合わせながら、なるべく自分らしく生きていられるよりよい道はないか探すことが物語になるのかとも思います。

『仕事でも仕事じゃなくても』著者:よしながふみ 聞き手:山本文子 発行所:フィルムアート社 2022年

本当にこれに尽きるというか。よしなが氏の著書がはじめてドラマ化されたときはいくつもの酷い改悪がありました。でも2023年版「大奥」の脚本・演者のすばらしいこと!これは氏が一つ一つ実績を重ねてこられた結果なのです。なによりもよしなが氏の原作を大切に、ということがドラマ化チーム全員に浸透してるのだと思います。原作が軽んじられることのない場所まで登ってこられた、その年月の積み重ねにも感動するのです。

『大奥』にずっとある大テーマ“伝染病の克服”もそう。一つ一つ実績を重ねることで少しずつだけど前進していく。私たちの仕事も同じ。今は通らない案件も実績を積み重ねれば3年後には通るかもしれない。もっと大きな志は自分が生きているうちには叶わなくても、下の世代が叶えてくれかもしれない。

よしなが氏は前述のインタビュー本の中で『大奥』のことをビルドゥングスロマンとも言われています。ビルドゥングスロマンとは教養小説(自己形成小説・成長小説)という意味のドイツ語だそう。物語の中で特に成長を感じるのは家光と和宮ですが、この漫画を16歳で読み始めた子は完結時に33歳になっていたわけで。私は連載開始時はすでに大人でしたが、それでも辛かった30代を共に走り切り、共に成長させていただいたと勝手に思っています。

これからも身一つで矢おもてに立って働き続ける限り、思わぬ角度から洗礼を浴び馬鹿正直に毎回きちんと傷つくのでしょう。でも一方でこのような原作がNHKのゴールデンタイムで放送される時代になったことは希望と励みを与えてくれます。

まったく違う土地でまったく違う人生を歩んできた4歳年上の女性が綴る物語。大奥は完結してしまいましたが、相変わらずよしなが氏は女・家族・マイノリティをテーマに書き続けられることでしょう。きっと一生追い続けることになるのだと思います。

>>仕事でも仕事じゃなくても

まとめ

今朝の展活タイムズは2023年版「大奥」に思うことでした。

今日もお読みいただきありがとうございます。

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大島 節子

展示会活用アドバイザー展活
1975年 大阪市生まれ。1998年家業マルワ什器入社。2001年、26歳のときに売上の95%以上を占める得意先が倒産する、という人生の試練を経験。連鎖倒産の危機を回避し家業を立て直す過程で多くの展示会現場に携わる。これまで関わってきた1000件を超える展示会経験を元に2012年展示会情報サイト「展活」を開設。2013年からは展示会セミナーの講師として活動開始。登壇回数200回以上、指導人数6,000人以上の実績。展示会初出展企業にも具体的でわかりやすい指導が好評を得ている。
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