展示会は何のために出る?

おはようございます^^
自社の問題解決力を見える化し展示会を成功に導く、展示会活用アドバイザーの大島節子です。

秋晴れの良いお天気が続きます。そんな早朝の大阪から今朝も展活タイムズをお届けします。

Howをとことんやって、Whyという原点に立ち返る

「今回の展示会、成功でしたか?」出展を終えた企業にそう尋ねたら、何をもって「成功」と判断するでしょうか。名刺を100枚集めたから成功?たくさんの人がブースに来てくれたから成功?商談が10件できたから成功?それとも、1件でも受注が決まったら成功?

私は中小企業の展示会出展を支援する仕事を始めて13年になります。どうすればブースの前で人が立ち止まってくれるのか。どうすれば自社の強みが伝わるのか。どうすれば商談につながるのか。展示会後、どうフォローすれば受注につながるのか。そんな「展示会で成果を出す方法」を、ずっと考えてきました。でも最近、もっとその手前にあることを考えています。そもそも、何のために展示会に出るのでしょうか。

受注を前提にしてきた

これまで私の展示会セミナーは、基本的に「展示会で受注を取る」ことを前提にしていました。展示会への出展にはお金がかかります。出展料だけではありません。ブースの装飾費、チラシなどの制作費、展示品の運送費。遠方なら交通費や宿泊費もかかります。さらに、展示会に参加する社員の人件費まで考えれば、中小企業にとって決して小さな投資ではありません。

だからこそ、「せっかく出展するなら、受注につなげましょう」と伝えてきました。誰に会いたいのか。その人に何を伝えるのか。どうやってブースに立ち止まってもらうのか。どんな会話から商談につなげるのか。展示会後、どうフォローするのか。

これらは今でも、とても大切だと思っています。これからも私は「展示会で受注を取る方法」を伝えていきます。ただ最近、ひとつ考えるようになりました。本当にすべての会社が「受注」を第一目的にして展示会に出る必要があるのだろうか?

「何のために出るか」は違う

もちろん、新規顧客を獲得し、受注につなげることを目的に出展する企業は多いでしょう。でも、展示会に出る目的はそれだけではありません。

たとえば、まだ開発途中の製品を展示して、来場者の反応を見たい会社もあります。「この機能は必要ですか?」「いくらなら買いますか?」「どんな場面で使えそうですか?」そんな生の声を集め、今後の商品開発に活かしたい。これも立派な出展目的です。

あるいは、大企業や老舗企業など、すでに業界内で知られている会社なら、「今年もうちは元気にやっていますよ!」と存在感を示すこと自体に意味がある場合もあります。普段なかなか会えない既存顧客と一度に会える。業界のキーパーソンと関係を深める。新製品や新しい取り組みを知ってもらう。これも展示会だからこそできることです。

さらに、社員教育を目的のひとつにする会社もあります。普段は製造現場にいる若手社員が、自分たちの技術をお客様に説明する。質問されて答えられなかったことで、自社について勉強する。来場者から直接「これ、すごいですね」と言われ、自分たちの仕事の価値を再認識する。これも展示会が会社にもたらす成果のひとつです。

100キロから70キロと、60キロから57キロ

ここで、展示会とはまったく違う話をします。100キロの人が70キロを目指すダイエットと、60キロの人が57キロを目指すダイエット。どちらも、やっていることを大きく括れば「ダイエット」です。でも、その目的はまったく違いますよね。

前者は、まず健康に動ける体になりたい。後者は、すでに十分健康な体重だけれど、さらに自分の理想の体型に近づきたい。そして「痩せる」という目標が同じだからといって、まったく同じ食事や運動をする必要はありません。目的が違えば、目標も違う。目標が違えば、やることも違う。

これ、展示会も同じです。「展示会に出展する」という行動が同じだからといって、すべての会社が同じブースをつくり、同じ接客をして、同じ数字を追いかける必要はありません。

「名刺100枚」が全社共通の目標ではない

たとえば、新規受注が目的なら、「有望商談を10件つくる」「見積依頼を5件獲得する」といった目標が考えられます。

一方、開発中の商品について市場の反応を確かめることが目的なら、「対象となる来場者30人から意見を聞く」という目標でもいい。この会社の場合、名刺を100枚集めても、肝心の商品についてほとんど話を聞けなかったのなら「成功」とはいえないかもしれません。逆に名刺は30枚しか集まらなかったとしても、その30人全員が対象者で、じっくり話を聞くことができたなら、大成功かもしれない。

社員教育が目的なら、「若手社員3人が、自分の言葉で自社の技術を説明できるようになる」でもいいでしょう。

目的が違えば、「何をもって成功とするのか」も変わるのです。だから私は、展示会に出展する企業すべてに「名刺○枚」「商談○件」と同じ物差しを当てはめることには、少し違和感を持つようになりました。

まず決めるべきなのは数字ではありません。「何のために出展するのか」です。

採用目的の展示会出展について思うこと

展示会の目的として、もうひとつ「採用」もあります。展示会に出れば、自社の製品や技術、社員が働く姿を多くの人に見てもらえます。そこから会社に興味を持ってもらい、採用につながることもあるでしょう。

私は、展示会を採用に活用すること自体には賛成です。ただし、「採用」を展示会出展の第一目的として前面に出すことには、少し慎重でありたいと思っています。なぜなら、展示会には本来、課題を抱えた来場者が、その課題を解決してくれる製品・技術・サービスを探しに来ているからです。

もし会場に「採用したい」というブースばかりが増えたら、どうなるでしょう。ソリューションを探しに来た来場者にとって、展示会そのものの魅力が薄れてしまうと思うのです。

来場者が減れば、結局困るのは出展企業です。展示会という「場」の価値を、出展企業自身が下げることになってしまいます。だから採用は、サブの目的として持つ。「受注につながる出会いをつくる。その一方で、うちの会社や仕事に興味を持ってくれる人がいたら採用にもつなげたい」私はそれくらいのバランスがいいのではないかと考えています。

これからセミナーの始め方を変えてみようと思う

そんなことを考えているうちに、私自身の展示会セミナーのつくり方も変えてみたくなりました。これまでは「展示会で受注を取る」ことを前提にして、そのための方法をお伝えしてきました。これからは、その前にひとつワークを入れてみようと思っています。

最初の問いは、これです。「あなたの会社は、何のためにこの展示会に出展しますか?」まず、それぞれの会社に出展目的を言語化してもらう。できれば、主目的はひとつ。副目的は1~2つ。くらいまで整理したい。

そして次の問いです。「展示会が終わったとき、何がどうなっていれば、その目的を達成できたと言えますか?」ここで初めて「目標」を決めます。新規顧客の獲得が目的なら、有望商談数かもしれない。テストマーケティングなら、集めたい意見の数かもしれない。既存顧客との関係強化なら、会いたい企業のリストをつくることから始まるかもしれない。社員教育なら、展示会が終わったとき社員にどう成長していてほしいのかを考える。

そうやって目的と目標を決めてから、誰に来てほしいのか。何を展示するのか。何を伝えるのか。どんなブースをつくるのか。どう接客するのか。展示会後、どうフォローするのか。を考えていく。そうすれば、「なんとなく展示して、なんとなく名刺を集めて終わる展示会」は、かなり減らせるのではないかと思っています。

13年やって、また「そもそも」に戻ってきた

私は13年間、展示会出展のノウハウを考えてきました。どうすれば人が立ち止まるのか。どうすれば伝わるのか。どうすれば商談につながるのか。そんな「どうやって」を、たくさん考えてきました。

そして今、あらためてその一段手前に戻ってきています。「そもそも、何のために?」13年前から「目的を明確にしましょう」とは言ってきました。でも今の私は、以前よりもずっと、この問いの重要性を感じています。

展示会で成果を出す方法を考える前に、「あなたの会社にとって、展示会で成果を出すとは、どういうことなのか?」そこから一緒に考える。その答えが決まれば、ブースも、接客も、集客も、フォローも変わってきます。展示会に「正しい出展方法」がひとつだけあるわけではない。

それぞれの会社に、それぞれの目的がある。だからこそ、その会社にとっての「成功」を最初に決める。これからの展活セミナーは、そこから始めてみようと思います。

今日もお読みいただきありがとうございます。

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