栃木県宇都宮で考えたこと

おはようございます^^
自社の問題解決力を見える化し展示会を成功に導く、展示会活用アドバイザーの大島節子です。

講演の前乗りで栃木県宇都宮市に来ています。そんな早朝の宇都宮から今朝は展活タイムズをお届けします。

公共の場のアートとインテックスの裸婦像

実は展活タイムズで地味に読まれ続けている記事があります。

2024年9月6日「インテックス大阪リニューアルオープン?」

この記事で触れたインテックス大阪に複数存在する裸婦像。なぜ裸婦像以外の銅像はないのか。「若い女の裸」でなければならないのはなぜなのか。それがなぜ当たり前のように公共の場にあるのか。もし子どもにと聞かれたらどう答えるのか。

私はきっと苦笑しながらこう答えます。 「おっさんによるおっさんのための箱ものだから」

ほとんどの人はインテックス大阪に「若い女の裸の像」しかないことに、何の反応も示しません。御堂筋にもたくさんあるし…と、当たり前の景色としてスルーしていく。

でも私にはそれができません。 なぜスルーできないのか。その答えがこの宇都宮という町にあるように思うのです。

すべての原点、宇都宮と一冊の図録

私は女子大の出身です。人生で一番良かった決断は女子大に行くと決めたことだと今でも思っています。

大学では美術史を専攻しましたが、選択科目で文化人類学を学ぶ機会があり、そこで出会った窪田幸子先生(現・神戸大学教授)から多大な影響を受けました。(窪田先生についてはこちらの記事を参照)

私が大学に在学していた90年代後半は、ちょうど「ジェンダー」という言葉が日本で使われ始めた時期。窪田先生から学んだことと、専攻の美術史が自分の中で結びついたのが、1997年、大学4回生の時でした。

ある美術雑誌で栃木県立美術館で開催された「揺れる女/揺らぐイメージ」という展覧会の存在を知りました。 なぜか強くピンと来てすぐに図録を取り寄せました。そしてその内容に感動を覚えた私は、企画された学芸員の小勝禮子さんに長い手紙を書きました。

研究の最前線への扉

すると信じられないことに小勝さんご本人からお返事をいただけたのです。 そればかりか、東京で開催される「イメージ&ジェンダー研究会」という会にまでお誘いいただきました。

その研究会は若桑みどり氏(当時・千葉大学教授)や千野香織氏(当時・学習院大学教授)といった、まさに「美術(史)とジェンダー」を切り拓いてこられた研究者の集まりでした。 そんな日本の最前線ともいえる場に、ただの地方の大学生である私を、小勝さんは招いてくださったのです。そして皆さんの前でこうおっしゃってくださいました。

「あの展覧会を企画して一番うれしかったことは、大島さんからの手紙をもらえたことでした。」と。

あの時の興奮は今でも忘れられません。その後、栃木県立美術館を訪れたり、大阪の展覧会で小勝さんとお会いしたり交流を持ってくださいました。本当によくしてくださったと感謝しています。

選ばなかった道と、今の私を構成するもの

当時は卒業後もこの分野で研究を続けたいと思いました。 しかし様々な事情があってその道は選ばず家業を継ぎました。そして更に色々あって今は展示会の専門家として活動をしています。

けれどあの時必死で学び、感じ取ったことは決して消えてなくなったわけではありません。それは今の私を構成する大事な要素になっています。

公共の場にあるアート、空間の使われ方、誰が作り、誰のためにあるのか。展示会の専門家として、そうした視点を持っていられるのは、間違いなくあの頃の経験があるからです。

宇都宮の地で、改めて思うこと

宇都宮の街を一人で歩いていると、どうしてもこんなことを考えてしまいます。 あの展覧会との出会いがなければ、私は今頃、インテックス大阪の裸婦像を当たり前の風景として、何も感じずに通り過ぎていたかもしれません。

自分の視点を形作ってくれたこの町で、今日、私は展示会についての講演をします。 あの頃の学びと今の仕事が、この宇都宮という場所で繋がることに不思議な縁を感じずにはいられません。

(インテックスの像もこんな感じのタコ焼きとか串カツでいい…)

大阪ミナミの三休橋という交差点には昭和時代から乳房を露わにした巨大な女神像がありました。それが去年の秋に撤去されたのです。撤去された理由は調べてもわかりませんでした。老朽化が原因で危険だったからかもしれません。でももしかしたら“時代にそぐわない”という理由だったのかもしれません。だとしたら時代は変わって来ているんですよね。

展活タイムズにこんなことを書いて良いものか少し迷いましたが、これもまた今の私を構成する大切な一部なのです。

今日もお読みいただきありがとうございます。

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