ブースの主役は製品ではない→じゃあ何?

おはようございます^^
自社の問題解決力を見える化し展示会を成功に導く、展示会活用アドバイザーの大島節子です。

すっきりしないお天気が続きます。そんな早朝の大阪から今朝も展活タイムズをお届けします。

ブースの主役は何ですか?

展示会のブース準備。まず最初に何を考えますか? 多くの方が「自慢の製品をいかに格好良く見せるか」からスタートするのではないでしょうか。大切に開発した製品を主役にしたいと思うのは当然のことです。

しかし、もし「成果を出す」という観点で考えた時、その「製品が主役」という考え方そのものが、来場者の足を遠ざけているとしたら…?

この記事では多くの企業が陥りがちな「主役の勘違い」と、来場者の心を掴んで離さない「本当の主役」。そしてその主役を輝かせるための具体的な方法を解説します。

なぜ「製品が主役」のブースは伝達力が低いのか

まず、なぜ「製品が主役」のブースがうまくいかないのか、その理由を考えてみましょう。

  • 出展者側の心理: 自分たちの製品が大好きでそのスペック、こだわり、語りたいことは山ほどあります。
  • 来場者側の心理: 広い会場を歩き回り、膨大な情報に晒されています。彼らは「勉強」しに来たのではなく「自社の課題を解決するヒント」を探しに来ているのです。

「製品が主役」のブースは、来場者に「このハイスペックな製品は、果たして私の課題を解決できるだろうか?」という、面倒な“翻訳作業”を強いてしまいます。忙しい来場者はわざわざその手間をかけてはくれません。結果としてそのやり方では伝わらないのです。

ブースの本当の主役とは?

では、一体何を主役にすれば良いのでしょうか? 展示会ブースの本当の主役、それは「お客様のお困りごと」です。

あなたのブースは、製品を並べる「博物館」ではありません。お客様の課題を解決する「相談所(クリニック的な)」であるべきなのです。

医者がいきなり棚に並んだ薬を自慢しないのと同じです。まず「どうされましたか?」と患者の悩みを聞くことから始めます。展示会も全く同じ。ブースの主役はお客様が抱える痛みや悩み、つまり「お困りごと」でなければならないのです。

「お困りごと」を主役に据える、具体的な3ステップ

では、どうすれば「お困りごと」を主役にできるのか。具体的な方法を3つのステップで解説します。

ステップ①:主役を言語化する

まず、あなたのお客様が抱える「お困りごと」を、できるだけ具体的に書き出します。「コスト削減」のような漠然とした言葉ではなく、「〇〇の交換頻度が高くて、メンテナンスコストがかさんでいる」といったレベルまで解像度を上げることが重要です。

ステップ②:主役にスポットライトを当てる

ステップ①で言語化した「お困りごと」を、そのままブースのキャッチコピーにしましょう。

  • ✕主役が製品 → 「世界最高硬度!〇〇コーティング技術」
  • ◎主役がお困りごと → 「金型のメンテナンス回数を半分にしませんか?」

後者のブースを見た来場者は、「まさにうちの課題だ!」と、磁石のように引き寄せられます。

【応用編】「展示する製品がない」という悩みも、これで解決!

ここで、「うちには製品がないから出展は難しい」と感じている企業様の悩みにもお答えします。この考え方を使えば、形のないサービスや受託加工でも、全く問題ありません。

  • Case1:部品加工会社のよくある悩み:
    「お客様から預かった材料を加工するだけだから、自社製品がない。守秘義務もあって、展示するモノがないんです…」

    解決策: 展示するのは「製品」ではなく「問題解決の実績」です。守秘義務に触れない範囲で、課題解決を説明するためだけのサンプルを、展示会用に新たに製作しましょう。例えば、「重くてコストのかかる部品」と「技術で軽量化・コストダウンを実現した部品」のビフォーアフターを見せることで、あなたの会社の本当の価値が一目で伝わります。
  • Case2:システム会社のよくある悩み
    「私たちの商品はソフトウェアなので、形がない。展示するモノがなくて困ります…」

    解決策: 展示するのは「システム画面」ではなく「問題解決の実演」です。あなたのシステムが解決する「お困りごと」を見せましょう。例えば導入前の「バラバラで非効率な業務」と、導入後の「スッキリと効率化された業務」を比較すれば、形のない商品の価値を分かりやすく伝えられます。

ステップ③:主役に会話をリードさせる

ブースに掲げた「お困りごと」をフックに会話を始めます。いきなり製品説明をするのではなく、まずはお客様の課題を深くヒアリングする「カウンセラー」に徹しましょう。お客様に存分に課題を語ってもらい、その解決策として初めて、脇役である「製品」や「サービス」を登場させるのです。

まとめ

展示会で成果を出すために必要なのは必ずしも目に見える新製品や革新的な技術ではありません。スポットライトの当て方を変える、ほんの少しの視点の転換です。

あなたのブースの主役を、愛する「製品」から、未来のお客様が抱える「お困りごと」へと交代させてみてください。

そうすれば、「製品がある」企業はもちろん、「製品がない」と悩んでいた部品加工会社やシステム会社でも、ブースに立ち寄るお客様の層が変わり、会話の質が深まり、質の高い見込み客リストが手元に残るはずです。

今日もお読みいただきありがとうございます。

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大島 節子

展示会活用アドバイザー展活
1975年 大阪市生まれ。1998年家業マルワ什器入社。2001年、26歳のときに売上の95%以上を占める得意先が倒産する、という人生の試練を経験。連鎖倒産の危機を回避し家業を立て直す過程で多くの展示会現場に携わる。これまで関わってきた1000件を超える展示会経験を元に2012年展示会情報サイト「展活」を開設。2013年からは展示会セミナーの講師として活動開始。登壇回数300回以上、指導人数10,000人以上の実績。展示会初出展企業にも具体的でわかりやすい指導が好評を得ている。初の著書『展示会を活用して新規顧客を獲得する方法』好評発売中。