CareTEX大阪2025 レポ

おはようございます^^
自社の問題解決力を見える化し展示会を成功に導く、展示会活用アドバイザーの大島節子です。

ひんやりとした朝。季節が進んだのを感じます。そんな早朝の大阪から今朝も展活タイムズをお届けします。

介護業界の現状と課題、そして解決策がわかる展示会

10月15日(水)~17日(金)インテックス大阪1・2号館にてCareTEX大阪2025が開催されていました。

こちらは介護の総合展示会。
■第10回 CareTEX大阪 介護用品展/介護施設産業展/介護施設ソリューション展/ケアフード展
■ 第5回 Careテクノロジー大阪 介護テクノロジー展
■ 第3回 ヘルスケアJAPAN大阪 介護予防総合展
以上で構成されています。

今日はこちらの展示会を見学することで見えてきた介護業界の現状と課題、そして解決策について考えてみたいと思います。

介護業界が抱える4つの課題

展示ブースとセミナーテーマから下記のような課題が浮き彫りになりました。

①「ヒト」の枯渇と疲弊

やはり一番の課題は「人材」です。「人件費率70%超の経営」というようなテーマから、職員の腰痛を防ぐ「ノーリフティングケア」、離職を防ぐ「従業員満足度」や「コーチング」、さらには「カスハラ対策」や「労務トラブル」まで。採用難と定着率の低さ、そして職員の心身の安全確保が、経営の根幹を揺るがす課題となっています。

②「カネ」の限界と制度不安

「2027年介護保険制度改革」や「社会保険のシュリンク」といったテーマが並ぶ通り、介護保険収入だけに依存したビジネスモデルは限界を迎えつつあります。「保険外サービス」の模索はもはやオプションではなく、生き残りのための必須戦略に。さらには「M&A活用方法」までが、経営者の現実的な選択肢として語られていました。

③「DX」への理想と現実

「生産性向上」は業界の合言葉ですが、テクノロジー導入は一筋縄ではいかない様子が伺えます。「AIは敵か、味方か」という問いかけは象徴的で、「現場主体で進める活用戦略」や「成功の秘訣は準備が8割」といったテーマから、現場の抵抗感を乗り越え、いかに“納得感”を持って導入するかが最大のハードルであることがわかります。

④「ケアの質」の高度化と多様化

もはや単なる「お世話」は求められていません。「口腔機能と転倒予防」や「おいしさを諦めない嚥下調整食」など、利用者のQOL(生活の質)を維持・向上させるための専門性が求められています。さらに、「美容」や「ファッション」といった、心の豊かさに直結する新たなケアの領域へも期待が広がっています。

課題解決ための4つの活路

しかし展示会には同時に「解決策」も提示していました。

①「選ばれる職場」への変革

人手不足だからこそ、「利用者ファーストのための職員ファースト」という発想の転換が鍵となります。職員の安全を守ることはもちろん、良い取り組みを「SNSで発信」し、ファンを増やす。そして「外国人スタッフ」や専門職ではない「介護アテンド職」など、多様な人材が活躍できる仕組みを作った事業所がこれからの時代に選ばれていくとのことです。

②「稼ぐ力」の多角化と戦略的選択

介護保険の外に新たな収益源を創出する動きです。「保険外サービス事業化」を本格化させたり、鍼灸師などが「介護予防事業に参入」したりと、自社の強みを活かした新領域への挑戦が始まっています。また、「M&A」も、人手不足と経営基盤を一気に解決する戦略的な一手として注目されています。

③「現場主役」のテクノロジー活用

DXの課題を越える鍵は「スモールスタート」です。「介護記録のオートメーション」や、厨房の労働環境を劇的に改善する「ニュークックチルシステム」、「完全調理済食品」など、まずは現場の負担が目に見えて減る分野から導入し、「小さな成功体験」を積むことが、大きな変革への第一歩となります。

④「心」と「科学」でQOLを支える

これからのケアは、科学的根拠と心の満足の両輪で進みます。「足指ほぐし」や「耳活フィットネス」といった「科学的アプローチ」で身体機能を維持しつつ、「介護美容」、「高齢者の推し活」、「多世代型シェアハウス」といった、利用者の「生きがい」や「幸福感」に直接働きかけるサービスが、新しい介護のスタンダードになろうとしています。

まとめ

CareTEX大阪のブースとセミナーテーマが示すように、介護業界が直面する課題は深刻かつ複雑です。 しかし、課題がこれほど明確であるということは、打つべき手もまた明確であるということ。「ヒト・カネ・DX・ケアの質」という4つの側面から、テクノロジーと新しいアイデアを軸に、業界全体が必死に変革しようとしている姿が見えました。

CareTEXのような展示会はまさにその変革のヒントが詰まった宝庫です。これからも注目していきたいと思います。

今日もお読みいただきありがとうございます。

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大島 節子

展示会活用アドバイザー展活
1975年 大阪市生まれ。1998年家業マルワ什器入社。2001年、26歳のときに売上の95%以上を占める得意先が倒産する、という人生の試練を経験。連鎖倒産の危機を回避し家業を立て直す過程で多くの展示会現場に携わる。これまで関わってきた1000件を超える展示会経験を元に2012年展示会情報サイト「展活」を開設。2013年からは展示会セミナーの講師として活動開始。登壇回数300回以上、指導人数10,000人以上の実績。展示会初出展企業にも具体的でわかりやすい指導が好評を得ている。初の著書『展示会を活用して新規顧客を獲得する方法』好評発売中。
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