展示会での逆営業はマナー違反?

おはようございます^^
自社の問題解決力を見える化し展示会を成功に導く、展示会活用アドバイザーの大島節子です。

乾燥した日が続くからか、プラスチック製品がよく割れる気がします…。そんな大阪から今日も展活タイムズをお届けします。

ブースが暇だから他のブースに営業に行きたいな…

展示会によっては期待した集客がなく、暇な時間ができることがあります。 ブースの前を誰も通らない…。スタッフも手持ち無沙汰になってしまう。

そんな時、ふとこんな考えが頭をよぎることはありませんか? 「この貴重な時間、ただ待っているのはもったいない。他の出展者さんのブースへ行って、自社製品を売り込みに行けないだろうか?」

いわゆる「逆営業」です。 しかしその行動に移る前に、一度立ち止まって考えてみてください。なぜならそれはあなたの会社の信頼を失いかねない、リスクの高い行為だからです。

明確なマナー違反。なぜNGなのか?

まず結論から申し上げます。 出展者が他の出展者ブースで自社の営業活動を行うことは、ほとんどの展示会でマナー違反、あるいは禁止規定とされています。

なぜでしょうか? 「相手の立場」になって考えてみれば答えは明白です。

相手の出展者も、あなたと同じく安くない出展料を払い、忙しい業務の合間を縫って、来場者(買い手)と商談するためにブースを構えています。 そこに出展者(売り手)であるあなたが営業に来たら、どう思うでしょうか?

「こっちは売るために来ているのに…」と不快に思うのは当然です。 さらに最悪なのは、あなたが相手スタッフを捕まえて売り込みをしている最中に、そのブースにとっての本当の「見込み客」が通り過ぎてしまうことです。

これは紛れもない営業妨害です。 信頼を築く場であるはずの展示会で、「あの会社はマナーが悪い」という悪評を作ってしまっては本末転倒です。

発想の転換:「営業」ではなく「情報交換」と「協業探し」へ

では、ブースが暇な時間は指をくわえて待っているしかないのでしょうか?

いいえ、違います。やるべきことはあります。ただし、発想の転換が必要です。 「売り込み(営業)」に行くのではありません。

「学び(業界の情報収集)」や「将来のパートナー(協業先)」を探しに行くのです。

目的が「今すぐ自社製品を売る」から「将来繋がるための関係作り」に変われば、あなたの「振る舞い」も「言葉遣い」も自然と変わります。 この姿勢の転換こそが、悪印象を与えずに他社と接点を持つ唯一の方法です。

悪印象を与えないための具体的な「3つのルール」

「情報収集」や「ご挨拶」として他社ブースを訪問する際も、細心の注意が必要です。以下の3つのルールを必ず守ってください。

① 「出展者である」と堂々と名乗る

来場者のフリをして近づき、話が進んでから「実はこういう商品を売ってまして…」と切り出すのが一番失礼で嫌われます。 名刺交換の際、真っ先に「恐れ入ります、私どもも〇〇ホールに出展しております〇〇社の者です」と、堂々と身分を明かしましょう。

② 「売り込み」ではなく「勉強させてほしい」という姿勢で

「当社の製品は…」と自社の話から始めるのは厳禁です。 「御社の〇〇という技術に非常に興味があり、勉強させていただきたく伺いました」 「当社の顧客に〇〇といった課題があるのですが、御社ではどのようなソリューションをお持ちですか?」 あくまで「教えてもらう」「情報交換をしたい」という謙虚なスタンスを貫きます。

③ 相手の「状況」を最優先する

相手ブースに来場者がいたら声をかけてはいけません。 また、相手スタッフがパソコン作業などで忙しそうなら、資料だけいただいて静かに立ち去ります。 声をかける際も、「出展者同士で恐縮ですが、今、1分だけよろしいですか?」と必ず許可を取り、相手が少しでも難色を示したら深追いせず、すぐに引き下がりましょう。

まとめ

ブースが暇な時間は、「今すぐの売上」を焦って信頼を失う時間ではありません。

業界のトレンドを学び、競合の動向を知り、将来協業できるかもしれないパートナーと礼儀正しく繋がる。 そういった「未来への種まき」の時間として有効活用しましょう。

その誠実で謙虚な姿勢が、回り回ってあなたの会社の信頼に繋がり、いつか大きなビジネスチャンスとして返ってくるはずです。

今日もお読みいただきありがとうございます。

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大島 節子

展示会活用アドバイザー展活
1975年 大阪市生まれ。1998年家業マルワ什器入社。2001年、26歳のときに売上の95%以上を占める得意先が倒産する、という人生の試練を経験。連鎖倒産の危機を回避し家業を立て直す過程で多くの展示会現場に携わる。これまで関わってきた1000件を超える展示会経験を元に2012年展示会情報サイト「展活」を開設。2013年からは展示会セミナーの講師として活動開始。登壇回数300回以上、指導人数10,000人以上の実績。展示会初出展企業にも具体的でわかりやすい指導が好評を得ている。初の著書『展示会を活用して新規顧客を獲得する方法』好評発売中。