「失敗しない展示会」と13年 今思うこと

おはようございます^^
自社の問題解決力を見える化し展示会を成功に導く、展示会活用アドバイザーの大島節子です。

夜間に降っていた雨も止み、今日は良いお天気になりそう。そんな早朝の大阪から今朝も展活タイムズをお届けします。

勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし

プロ野球の野村克也監督の座右の銘として有名な、この言葉をご存知でしょうか。「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」

運に恵まれたり、相手のミスに助けられたりして、実力以上の「たまたまの勝利」を拾うことはある。 けれど、偶然の敗北なんてものは存在しない。負けるときには、必ず明確な原因や落ち度がある。だから負けたときは運のせいにせず、原因をしっかり分析して改善しなさい――という教えです。原典は江戸時代の大名で剣術の達人でもあった、平戸藩主・松浦静山(まつうら せいざん)の言葉だそうです。

これ、ものすごく本質ですよね。誰が言っていたのか忘れてしまったのですが、以前、ある書籍編集者さんがこんなことを仰っていました。「どんな本がベストセラーになるかは、正直わからない。でも、確実に売れない本はわかる」

これを聞いたとき、思わず膝を打ちました。 展示会アドバイザーの大島節子も、まったく同じことを思っています。「どんな展示会が大成功するかはわからない。でも、失敗する展示会はわかる」(笑)。展示会で成果が出ない会社には、必ず「負けるべくして負けている明確な理由」があるのです。

13年前の人気投票で勝ったタイトル

私は2013年から展示会セミナーの講師を始めて、今年で13年になります。 活動をスタートした当初、どんなセミナーが求められているのか知りたくて、タイトルの人気投票アンケートを取ったことがありました。

①「見込み客をつかむ展示会の作り方」 ②「失敗しない展示会の作り方」

多数決で多かったのは②でした。興味深かったのはその内訳です。①を選んだのは女性起業家やスタートアップの社長さんが多く、②を選んだのは中小企業の男性後継者社長たちが多かったのでした。

展活のメインのお客さんは、②の後継者社長の皆さんです。 先代から引き継いだ会社を守り、社員とその家族の生活を背負っている彼らが求めていたのは、派手な勝ち方ではなく「負ける要因を最初につぶしておくこと」。まさに「負けに不思議の負けなし」を知りたい人たちだったのです。

だから私は、主催者から特別な要望がない限り、ずっと『失敗しない展示会の作り方』というタイトルで多くの登壇を重ねてきました。

「負けをなくす」ための3つのレベル

セミナーではいつも、展示会ブースの伝達力を3つのレベルに分けてお伝えしています。

  • レベルC:ロゴだけのイメージブース
    大企業のブースはほぼこれです。かっこいいから真似したくなりますが、中小企業がこれをやると「何屋さんかすら伝わらない」という大惨事になります。アップルやトヨタだから許される手法です。
  • レベルB:できることを並べているだけのブース
    自社の技術や製品スペックを羅列しているブース。多くの出展社がここに留まっています。たまたまニーズが合致すれば成約することもありますが、伝達力が高いとは言えません。
  • レベルA:問題解決型ブース
    「誰の、どんなお困りごとを解決できるのか」が一目で伝わるブース。人は自分に関係があることにしか興味がありません。だからこそ、「まさに今、自分が困っていたこと」が目の前にドンと掲げられていたら、思わず足を止めざるを得ないのです。

中小企業が展示会で確実に成果を出すなら「レベルA」を目指すべき。 13年間現場を見てきて、この確信は今も揺らいでいません。問題解決型を徹底すれば、展示会で大コケすることはまずなくなります。堅実に、手堅く、新規顧客をつかんでいけるのです。

でも、スティーブ・ジョブズならどうする?

ところが、最近、考えていることがあります。もしスティーブ・ジョブズが、創業間もない中小企業時代に展示会へ出展していたとしたら―― 彼は「問題解決型ブース」を作っただろうか? まぁ作らなかったと思うんですよ。

あのアップルが、 「〇〇の業務効率化でお困りの企業様へ!」 なんてキャッチコピーを掲げる姿、どうしても想像がつきませんよね(笑)。ジョブズが提示していたのは「誰かのお困りごとの解決」ではなく、「まだ誰も見たことがない、世界を変える新しい未来」でした。

そう考えると、少し立ち止まってしまうのです。 「失敗しない展示会」を追求し、負けの要因を徹底的につぶしていくやり方は、会社を堅実に存続させるためにはベストな方法です。

けれど、会社が爆発的に発展するとか、世の中をひっくり返すようなイノベーションを起こすときって、実は「勝ちに不思議の勝ちあり」の領域なんじゃないか。ケタ外れの熱狂や、失敗を恐れない狂気のようなものからしか、あの爆発力は生まれないのではないか、と。

問題解決型のアプローチで教えられるのは、どこまでいっても「負けに不思議の負けなし」の部分です。 でも、イノベーションを起こすような「不思議の勝ち」を呼び込む方法を教えられるのか。というか、そもそもノウハウとして構築できるものなのかどうかもわかりません。

これから、どんなセミナーを届けていこう?

勘違いしてほしくないのですが、私は「レベルA=問題解決型」を否定したいわけではありません。 型も身についていないのに、いきなりジョブズの真似をしたら、待っているのはただの撃沈です。まずは「守破離」の「守」。確実に生き残り、打席に立ち続けるための土台として、問題解決型ブースは確実に有効です。

ただ、失敗を恐れず爆発を目指す企業が出てきたとしたら。私は今後、どんなセミナーをしていけばいいんだろう?そんな問いが、私の頭の中を巡っています。

すぐに答えが出る話ではないのですが、展示会と向き合い続けて13年、ふと見えてきたこの「思考の踊り場」の景色を、今日はそのまま書き留めてみました。

今日もお読みいただきありがとうございます。

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