生川製作所、展示会挑戦の軌跡【前編】
おはようございます^^
自社の問題解決力を見える化し展示会を成功に導く、展示会活用アドバイザーの大島節子です。
お盆が明けて少し涼しくなりました。そんな早朝の大阪から今朝も展活タイムズをお届けします。
零戦の板金技師から始まった町工場
有限会社生川製作所のルーツは、零戦の板金技師だった現社長の祖父の代にさかのぼります。溶接・板金加工を家業として、工作機械や自動車部品などの受託加工――いわゆるBtoBの下請けとして事業を続けてきました。
かつては特定の1社が売上の約50%を占めていたといいます。技術には自信がある。しかし「取引先の都合で会社の未来が左右される」という下請け構造の危うさは、経営を担う者として無視できない課題でした。
この状況に本格的に向き合い始めたのが、2014年に入社した現社長生川氏(当時38歳)です。入社前から「従来の仕事に囚われず新しい挑戦をする」という方針を掲げ、少しずつBtoCや自社製品開発への模索を始めます。2019年10月には、個人向け特注に対応するWebサイトを立ち上げました。ここから、生川製作所の展示会挑戦の物語が動き出します。
初のイベント出展「FIELDSTYLE」で見えた光と壁
Webサイト開設の翌年、生川製作所は初めてBtoC・一般ユーザー向けイベント「FIELDSTYLE(フィールドスタイル)」に出展します。それまで工場の中で加工の仕事をしてきた会社が、初めて一般の来場者と直接向き合う場に立った瞬間でした。

結果は上々でした。ブースでその場から直接注文が入り、収益も発生しました。さらに思いがけない副産物もありました。インスタグラムで出展を知った来場者が、採用面接に応募し入社に至ったのです。展示会が「売る場」であると同時に、「出会う場」でもあることを実感する出来事でした。
一方で、課題も見えてきました。その場での直接受注は取れたものの、それが継続的な顧客関係には結びつきませんでした。また、ブースの構成やコンセプトの伝え方にも、まだまだ改善の余地があることがわかりました。「売れた」で終わらせず、「なぜ売れたのか」「なぜ続かなかったのか」を振り返ったこの経験こそが、その後の展開の土台になっていきます。
自社製品と提携製品で「価格を決める」経験を積む
コロナ禍という逆風の中、生川製作所は自社開発のアルコールスタンド「ふみふみ君」を世に送り出します。この開発を通じて社長が強く認識したのは、「自社で価格を決定できる製品・事業を持つことの重要性」でした。下請けである限り、価格は常に発注元の意向に左右されます。自社製品を持つことは、その構造から一歩抜け出す挑戦でもありました。
さらにこの流れの中で、神戸の「FLRAME(フレイム)社」との提携が生まれます。同社の壁掛け暖炉「FLRAME(フレイム)」は、大手メーカーが対応しきれない小ロットの試作・開発に生川製作所が応じたことがきっかけとなり、販売代理店契約へと発展しました。高額商品の販売・展示会出展という、それまでとは異なる経験を積むことになります。
「メッセナゴヤ2025」での本業回帰
そして2025年、生川製作所は大きな決断をします。BtoC路線の延長ではなく、本業であるBtoB設備・現場施工の分野で、本格的に展示会に打って出るという決断です。舞台は「メッセナゴヤ」でした。
コンセプトは明快でした。「加工だけでなく現場施工まで一括対応し、発注担当者の手間を省く」――工場設備の管理者に向けた、実務課題にまっすぐ応えるメッセージです。

ブースづくりには工夫を凝らしました。火を焚く暖炉「FLRAME」をアイキャッチとして設置し、まず足を止めてもらう。その上で本業である加工・施工の提案へとつなげる、という二段構えの戦略です。
この戦略は功を奏しました。メイン通路沿いという好立地も後押しし、集客力は抜群でした。成果として複数の受注と継続受注を獲得し、大手メーカーとの新たな接点も築くことができました。
ただし、反省点も残りました。本業の提案と暖炉の展示という二つの要素が同じブース内に混在したことで、「結局、何屋さんなんですか」という声が来場者から上がったのです。目を引くことには成功したものの、伝えたいメッセージが一つに定まりきらなかった――この気づきが、次の一手を決定づけることになります。
そして次のフェーズへ
FIELDSTYLEでの手応えと壁、ふみふみ君とフレイムを通じた自社製品づくりの経験、そしてメッセナゴヤでの集客成功と「伝わりにくさ」という反省。生川製作所の展示会活用は、出展のたびに一歩ずつ、自社の立ち位置を磨き上げてきた歩みそのものでした。
後編では、この反省をどう次の出展に活かしたのか、そしてそこから思いがけず生まれた新事業と新会社設立までの道のりをお伝えします。
今日もお読みいただきありがとうございます。

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