展示会で成果を出すために「強みを手放す」とは?

おはようございます^^
自社の問題解決力を見える化し展示会を成功に導く、展示会活用アドバイザーの大島節子です。

湿気高めの日が続きますね。そんな早朝の大阪から今朝も展活タイムズをお届けします。

その強み本当に全部必要?

皆さんに質問です。 「よし、展示会に出展するぞ!」「会社のパンフレットを新しくしよう!」「ホームページをリニューアルだ!」 そんな時、まず何から考え始めますか?

おそらく多くの方が、「うちの会社の強みは何だろう?」「あれも私たちの得意なことだし、これもお客様にアピールしたい!」と、自社の素晴らしいところ、誇れるところをたくさんリストアップすることから始めるのではないでしょうか。

それはもちろん、自社の価値を再認識する上でとても大切なプロセスです。 でも、その“強み”、もしかしたら多すぎて、あれもこれもと伝えようとするあまり、かえって一番お伝えしたいお客様に、一番届けたいメッセージがぼやけてしまっているかもしれません。

今日は展示会で、あるいはあらゆる情報発信において成果を出すために、あえて「強みを“手放す”」という、ちょっと逆説的な考え方についてお話ししたいと思います。

展活では“強み”から考えません

私が提唱し、セミナーやコンサルティングでお伝えしている展示会活用法「展活」では、実は「自社の強みは何か?」という点から考え始めることはありません。

「え、じゃあ何から考えるの?」と思われますよね。 展活の思考プロセスは、こうです。

  1. まず、「この展示会で、どんなお客様に一番お会いしたいのか、お伝えしたいのか?」を具体的に、徹底的に明確にします。
  2. 次に、その「一番お伝えしたいお客様」が、今、どんなことで困っているのか、どんな課題を抱えていて、どんな不便を感じているのかを、お客様の立場に立って深く考えます。
  3. そして最後に、そのお客様が抱えるお困りごとを、自社のどんな「強み」で解決できるのか、その具体的な根拠や証拠を示していくのです。

つまり、お客様のお困りごと解決が「主役」で、自社の強みはあくまでそのお困りごとを解決できるという「根拠」や「裏付け」として登場する、という順番。これが展活の基本的な考え方なんです。

「強み」って例えばどんなこと?

もちろん、企業が持つ「強み」は多種多様です。 例えば、

  • 最新鋭の高性能な機械を導入している
  • この道何十年という熟練の技を持つ職人が揃っている
  • これまでに〇〇件という豊富な納品実績がある
  • テレビや新聞、雑誌などのメディアで紹介されたことがある
  • 品質管理体制には絶対の自信があり、不良品はほとんど出ない

などなど…これらはどれも、それぞれの会社が努力と工夫を重ねて築き上げてきた、素晴らしい財産であり、誇るべき点であることに間違いありません。

それでも「手放す強み」がある理由

では、なぜ、そんな素晴らしい「強み」があるにも関わらず、それをあえて「手放す(=今回は言わない)」必要があるのでしょうか?

その答えは、今回定めた“一番お伝えしたいお客様”の“お困りごと解決”に、直接関係のない強みならば、今回の展示の軸においては思い切って言わない方が、かえって効果的だからです。

例えば、あなたが「とにかく急いで試作品を作りたい!」と切実に願っているお客様に一番お会いしたいと考えているとします。そのお客様に対して、「うちは創業100年で、昔ながらの丁寧な職人技もすごいんですよ」とアピールしても、そのお客様の「今すぐ欲しい!」という一番のニーズには、残念ながら響きにくいかもしれません。むしろ、「老舗だから時間がかかるのかな…?」と誤解されてしまう可能性すらあります。

展示会のブーススペースや、来場者があなたのブースに注目してくれる時間は、本当に限られています。その限られた中で、最もお伝えしたいお客様に、最も心に響くメッセージを届けるためには、情報を勇気を持って絞り込み、展示の軸を定めることが不可欠なんです。

「手放す」ことで得られる、本当の「伝わる力」

「強みを“手放す”」と言うと、なんだかネガティブなことのように聞こえるかもしれません。でもこれはポジティブな行動です。 なぜなら、「強みを“手放す”(=情報を絞る)」ことで、

  • 本当に伝えたいメッセージがシンプルになり、より強く、深く相手に伝わる。
  • お会いしたいお客様が「あ、このブースはまさに自分のためのものだ!」と直感的に認識しやすくなる。
  • ブースに立つスタッフも、何を中心に話せば良いかが明確になり、自信を持って、熱意を込めて接客できる。
  • 結果として、ブースへの集客が増え、質の高い商談に繋がりやすくなる。

ということなんです。 すべてを言おうとすると結局何も印象に残らない。でも本当に必要なことだけにメッセージを絞ることで、その言葉は相手の心に届くのです。

まとめ:「選択と集中」こそ、中小企業の展示会成功への道

展示会はもちろんのこと、会社パンフレットやホームページといった、あらゆる情報発信の場面においても、この「お伝えしたい相手のお困りごとを起点に考え、それに直結しない強みは今回はあえて言わない」という考え方は重要だと思います。

あれもこれもと自社の良いところを並べ立てるのではなく、最もお伝えしたい相手に、最も心に響くメッセージを届けるために、勇気を持って「強みを選択し、そこに集中する」こと。 これこそが、特に私たち中小企業が、限られたリソースの中で展示会で大きな成果を出すための、大きな鍵を握っていると私は考えています。

皆さんも、次の展示会や販促物作成の際には、ぜひ一度、「今回は何を言わないでおこうか?」「どの強みを“手放して”みようか?」という視点も加えて、情報発信のあり方を見直してみてはいかがでしょうか? その「手放す勇気」があなたの会社を、次のステージへと導いてくれるかもしれません。

今日もお読みいただきありがとうございます。

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大島 節子

展示会活用アドバイザー展活
1975年 大阪市生まれ。1998年家業マルワ什器入社。2001年、26歳のときに売上の95%以上を占める得意先が倒産する、という人生の試練を経験。連鎖倒産の危機を回避し家業を立て直す過程で多くの展示会現場に携わる。これまで関わってきた1000件を超える展示会経験を元に2012年展示会情報サイト「展活」を開設。2013年からは展示会セミナーの講師として活動開始。登壇回数300回以上、指導人数10,000人以上の実績。展示会初出展企業にも具体的でわかりやすい指導が好評を得ている。初の著書『展示会を活用して新規顧客を獲得する方法』好評発売中。
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