展示会で理想のお客さんに出会うために

おはようございます^^
自社の問題解決力を見える化し展示会を成功に導く、展示会活用アドバイザーの大島節子です。

今日は一年のちょうど真ん中、折り返しの日。そんな早朝の大阪から今朝も展活タイムズをお届けします。

「誰でもいいから来て!」はもう終わりにしよう

展示会の準備を進める中で、私が必ずする質問があります。それは「今回の展示会で、どんなお客さんと出会えたら一番うれしいですか?」 という質問です。

多くの方が「新規のお客様に…」「買ってくれるお客さんなら誰でも…」と、少し曖昧な答えになってしまいがちです。そのお気持ち、よく分かります。

しかし“誰に会いたいか”が曖昧なままでは、ブースのメッセージもぼやけてしまい、結果として誰の心にも響かない、ということになりかねません。 今日は、皆さんのブースに「ぜひ、この人に来てほしい!」という“理想のお客様”を具体的に描くための、5つの視点をご紹介します。

まずは基本 2人の人物を思い浮かべる

具体的な人物像を描くための第一歩として、まずはこの2人を頭に思い浮かべてみてください。

視点①:あなたの“大好きなお客さん”はどんな人?

これまでお仕事をしてきた中で、「この人と仕事ができて本当に良かった!」「この方のためなら、もっと頑張れる!」と思えた、あなたの“大好きなお客さん”を一人、具体的に思い出してみてください。 その方はどんな業界で、どんなお立場でしたか?どんな性格で、何に困っていて、そして、あなたの会社のどんな点を喜んでくださいましたか? 過去の成功体験の中に、未来へのヒントは眠っています。

視点②:“妄想”で創る「最高のお客さん」はどんな人?

次に、これはもう“妄想”でOKです。「こんなお客様に出会えたら最高だなぁ~」と思える、あなたの“理想のお客さん”を自由に描いてみてください。 自社の技術を理解し、正当に評価してくれて、単なる取引先ではなく、未来を共に創るパートナーになれるような…。そんな理想の相手は、どんな業界で、どんな立場の人でしょうか?

理想のお客様を深掘りする「3つの追加視点」

2人の人物像の輪郭が見えてきたら、さらに解像度をグッと上げるために、次の3つの視点を加えてみましょう。

視点③:その人は、今「何に困っている」のか?(お困りごとの具体化)

「業種」や「立場」だけでなく、その人が「抱えているであろう“お困りごと」まで想像します。 例えば、「自動車メーカーの開発担当者」というだけではなく、「EV化で部品の軽量化を至上命令とされているが、どうしても強度を保てる良い素材が見つからず、毎晩頭を抱えている」というように。 この生々しい“お困りごと”こそが、あなたの会社が展示会で訴えかけるべき、最も強く、そして共感を呼ぶメッセージの核になります。

視点④:その人は、何を「大切にしている」のか?(価値観の具体化)

その人が仕事相手を選ぶ上で、何を重視するタイプかを考えます。 「価格最優先」で、とにかくコストを叩きたい人でしょうか?それとも、「品質や技術力を正当に評価してくれる」人でしょうか?あるいは、「長期的なパートナーシップを大切にする」人、「新しい挑戦に積極的な」人でしょうか? 自社の価値観と合うお客様をイメージすることで、展示会でのミスマッチを防ぎ、より質の高い出会いが期待できます。

視点⑤:あえて考える「会いたくない」お客さんとは?

これは少し変わったアプローチですが効果的です。 「会いたい人」の輪郭をハッキリさせるために、あえて「正直、こういうお客様とはお付き合いしたくないな…」という人物像を考えてみるのです。 例えば、「とにかく値切ることしか考えていない」「こちらの専門家としての提案に全く耳を貸してくれない」「約束や納期を守る意識が低い」など。 不思議なもので、「会いたくない人」の逆の姿こそが、あなたが本当に大切にすべき「会いたい人」の姿として、より鮮明に浮かび上がってくるのです。

完成!自社だけの「理想のお客様プロフィール」

さあ、これら5つの視点を使って、最終的に「理想のお客様プロフィール」を一枚の紙にまとめてみましょう。

  • Before(曖昧): 「自動車メーカーの開発担当者」
  • After(具体的): 「大手部品メーカー(〇〇社など)で、EV向けの新素材開発を担当している技術者。既存の素材では“軽量化と耐熱性の両立”という課題をクリアできず、頭を抱えている。コストよりも、技術的な提案力や、一緒に開発を進めてくれる長期的なパートナーシップを重視しており、新しい素材への挑戦にも前向きな人」

ここまで具体的に描ければ、ブースで掲げるべきキャッチコピー、チラシに載せるべき内容、そして説明員が語るべきトーク、そのすべてに一貫した強い軸が生まれ、メッセージが明確になると思いませんか?

まとめ

不特定多数の“誰でもいいから”に向けて発信されたメッセージは、結局誰の心にも響きません。 しかし、たった一人「この人に届けたい!」と強く、深く想って作り上げたメッセージは、不思議と同じような課題や価値観を持つ、複数の人々の心をも動かす力を持つのです。

ぜひ、今回ご紹介した5つの視点で、あなたの会社だけの「理想のお客さん」を描き出してみてください。 そのたった一人の顔が、次の展示会を成功に導く道しるべになるはずです。

今日もお読みいただきありがとうございます。

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大島 節子

展示会活用アドバイザー展活
1975年 大阪市生まれ。1998年家業マルワ什器入社。2001年、26歳のときに売上の95%以上を占める得意先が倒産する、という人生の試練を経験。連鎖倒産の危機を回避し家業を立て直す過程で多くの展示会現場に携わる。これまで関わってきた1000件を超える展示会経験を元に2012年展示会情報サイト「展活」を開設。2013年からは展示会セミナーの講師として活動開始。登壇回数300回以上、指導人数10,000人以上の実績。展示会初出展企業にも具体的でわかりやすい指導が好評を得ている。初の著書『展示会を活用して新規顧客を獲得する方法』好評発売中。